* 「Side:GOT」 作 : 道行マリル 様


Did you get that...?
...GOT...

〜Prologue〜
時は流れる。
未来から訪れたものはやがて過去となる。
それぞれの形、それぞれの物語。
一瞬の間に紡がれる言葉。

〜I〜
風が吹くと突然不安になることがある。
風はいつだって大切なものをさらっていってしまうから。
何の前触れもなくやってきて一瞬のうちに去ってしまう。
風が強い日はいつだって心が休まらなくて。
「どうしたの?」って前を行く君が俺に聞く。
「なんでもねぇ」って後ろをついていく俺が強がる。
不意に吹いた強い風。
小さな叫び声をあげた君を、俺は思わず強く抱きしめた。
そして俺は小さく呟いた「...」
君は「大丈夫だよ、タイム」と答えた。

〜II〜
水面に写る二人・・・僕と貴女。
言葉もなく、そこにあるのは水の揺れる音。
僕は、その静かな時間が好き。
けれど、同時に怖くもある。
大切なものが無くなっても、気がつかないかもしれなくて。
不意に、水面に写る人影が一つになった。
僕は顔を上げて周りを見渡した。
「どうしたの?」貴女は僕の斜め後ろからそう聞いた。
僕は貴女を抱きしめて呟いた「...」
貴女は「ここにいるよ、ルカ」と答えた。

〜III〜
街中を歩く時、恥ずかしがる君の手を握るのは、
人ごみの中に君を置いていきたくないから。
一瞬、そうほんの一瞬離れただけでも
大切なものが、大切な人が失われていく。
もうそんな思いは二度としたくないから。
頬を赤く染めて共に歩いてくれる君が何よりも愛しくて。
失った時のことを考えたら、発狂してしまうじゃないか。
そう思ってしまうほど狂おしいまでに愛しくて。
そんなことを考えてた俺の口から紡がれた言葉「...」
一瞬驚いた後君は「側にいるよ、アトル」と答えてくれた。

〜IV〜
あの鳥のように飛べたなら、なんていつから考えるようになったか。
海の上を飛ぶ鳥の鳴き声を聞くと、最近そんなことを考える。
名とは裏腹に飛べない私。
隣にいる貴女のほうが余程飛んでいきそうで。
何者にも捕らわれず何よりも自由な貴女のほうが・・・
両手を広げて、風を受ける貴女。
気がついたら私は貴女を抱きしめていた。
怖くなってしまった、本当に飛んで行きそうで。
縋るように呟いた私の言葉「...」
私を撫でながら「どこにも行かないよ、スカイ」と貴女は囁いた。

〜V〜
この世界で無くしたものはまだ無いけれど、
帰れぬ世界で無くしたものは沢山あって。
その思い出が今でも俺の心を縛り付ける。
これからも無くすことを繰り返す可能性を示し続ける。
窓から入るこの世界の風が、何故かあの世界の風と被って。
失った過去をまた呼び戻そうとしていたから。
俺は思いっきり窓を閉めた。
そして、側で俺の行動を見ていた彼女に抱きついた。
確かめたくて問いかけたんだ。「...」
俺を抱き返しながら「私は消えないよ、ラス」って言ってくれた。

〜VI〜
暗い闇の世界に浮かぶ光る月。
ただそれを見上げ見つめるお前がいる。
俺も月を見上げるのは嫌いじゃない。
ただ、その横顔が気になって仕方が無い。
「何を考えているんだ?」気になって口に出してみたら。
「何でもないよ」と苦笑いのお前。
本当はわかってる、お前が何のことを考えてたくらい。
わかっていて赦さない俺がいる。
抱きしめて「...」なんて呟く卑怯な俺がいる。
そして「不安にさせてごめんね、クロス」なんて言う罪作りなお前がいる。

〜Epilogue〜
それぞれの形、それぞれの物語。
一瞬の間に紡がれる言葉は。
「側にいて、一人にしないで」
「もうこれ以上失いたくない」

時は流れる。
未来から訪れたものはやがて過去となる。
形を得たものはいずれその形を失う。
それでも、その形を少しでも長く維持したい・・・

What I got is what I can be lost.
(私が得たものは失い得るもの)

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後書き
4周年おめでとうございます。
Side:GOTは何だか暗いです。
でも時がたてばたつほど不安になることもあるかなと思って
書いてみました。いかがでしたか?
(英語の文法に関する突っ込みは無しで!(笑))
よろしければSide:LOSTも読んでみてください。

...4th Aniversary
to the next year...

2008年1月20日
Written by Doukou-Maril




『Talisman』の4周年記念に道行マリル様から頂きました。
時間が経てば経つほどに、楽しいことばかりではないけれど
それぞれのキャラクター達の隣には、応えてくれる相手が
道行さんのコーラルが一緒に居てくれることを、心から願いたくなるお話でした。
素敵なSS作品をありがとうございました。

2008年1月23日 : 中原 良