* 「Happy Happy Birthday!!」 作 : 道行マリル 様


※○○には自分の名前を入れて読んで下さい。一箇所しか出てきませんが(笑)※

この日は私の生涯の中で・・・
最高の一日となった・・・


研究の合間、私たちは休憩を取り、街へ出かけた。
今日も人がいっぱい・・・
そんななか、最愛の人とはぐれないように歩く。
「コーラル、はぐれないように手をつなごうか。」
そういって私の手をとる私の恋人・・・アトル。
「はっ・・・恥ずかしいです・・・」
「ふふっ、照れてる顔もかわいらしいよ。」
「///」
相変わらず、彼の台詞には顔があつくなる。

たった一週間の滞在の予定のはずのこの街だったけど、アトルの事をもっと知りたくて、一緒にいたくて・・・
それで数ヶ月たった今でも、一緒にいる。
その後私はアトルの推薦で研究所に入った。
この世界といい、都市といい、研究といい、魔法といい、まったくわからないことだらけだけど、一人じゃない、アトルがいるから、今を生きていけるのだと思う。
友達もできた。
高等技術部のタイム、ルカ。
研究所所属でアトルの魔法人形(マジックドール)のスカイ。
ほかにも・・・色々。
元の世界の皆が恋しくないわけじゃないけど、今もここで暮らしていることに・・・後悔はない。

「わぁ〜きれい・・・」
しばらく街を歩いていると、私はある宝石店で一旦立ち止まった。
実にきれいな石が並んでいる。
・・・石に詳しくないからどれがどれだかわからないけど・・・
「ふふっ・・・そうだね。もっとも・・・」
「・・・?」
「君の前にはどの石も見劣りするけどね」
「またそういうことを・・・」
「本当だよ?美しいお嬢さん。」
「///」
本当に恥ずかしい・・・
「どれか気に入ったのがあるのかい?」
「え?う〜ん・・・ないわけじゃないけど・・・私に似合いそうにないのが多いし・・・」
「そうかな?」
「うん。どうしてもほしいわけじゃないし・・・」
そういう私にアトルは・・・
・・・?気のせいか、少し安心した顔をした。
「アトル?」
「なんだい?コーラル・・・」
「今、ちょっ「そこのお姉さん、お兄さん」
私の声をさえぎる声がした。
二人でそっちをみるといかにもやばそうな人が二人。
「何かな?」
「ちょっと資金援助してもらえないかな〜?」
やっぱり・・・まともじゃなかった。
「断るといったら?」
「痛めつけられたくなかったらお勧めしないねぇ・・・」
カツアゲ。この世界にもそういうのがいるんだなぁ・・・
って感心してる場合じゃないよ!!
「どっ・・・どうしようアトル・・・」
「落ち着いてコーラル。」
そういって片腕の袖に、もう片方の腕を突っ込み・・・引き抜く。
その瞬間、彼からの圧力が増した。
アトルは片腕をカツアゲ二人組に見られないように私の方に差し出す。
「預かってくれ。私の腕に触れないようにね。」
「え・・・それって・・・」
彼が持っていたのは2つの封環。魔力を制御する道具だ。
彼がつけている封環の量は2つなんてもんじゃないんだけどね・・・
腕に触れないようにっていったのはおそらく・・・
「まったく、しかたないねぇ・・・」
そういってアトルはさりげなく、二人に近づく。
ある程度間合いをつめる。
「もっとこっちに来てくれないかい?」
「その気になったか?」
そういって2人はアトルの要請に従い、近くに寄った。
彼からもれる、普通ではない圧力に気づかずに。
見事に・・・アトルの罠にはまった。
アトルは一気に二人の間を走り抜ける。
その際、彼らの体に触るのを忘れない。
正確には触れていないのだが。
バチバチッ
電気が走るような音と共に彼らはしゃがみこんだ。
激痛のあまりに。
一人は肩を、もう一人は腕を押さえて。
「ぐぁっ・・・」
「これ以上、痛い目を見たくなかったら、立ち去ることをおすすめするよ・・・」
「くそっ!!」
アトルの魔法を使わない・・・ただの魔力に押されて、彼らは去っていった。
ずいぶんひどい出血をしていたみたいだったけどね・・・
「アトル・・・」
「やれやれ、まいったものだね。せっかくのデートだというのに。」
「デートなんて、そんな・・・」
「邪魔されてはねぇ・・・」
どことなく不機嫌なアトル。
「あのっ」
「ん?」
「守ってくれて・・・ありがとう」
「ふふっ・・・当然のことだよ。お嬢さんを傷つけるわけに行かないからね」
そういって微笑むアトル。
「この魔力も・・・君を守るために使えるなら歓迎できるよ」
「アトル・・・」
「あ、封環。」
「あ、そうだ。はい、どうぞ」
「ありがとう」
やっぱり彼の腕に触れないように封環を返す。
「そろそろ戻ったほうがいいね。日も暮れる」
「そうだねぇ〜」
そういってきた道・・・学院への道を戻っていく。

研究所の扉の前に立つ。
いつもはアトルが先にあけて、「どうぞ、お嬢さん」とかいって入れる。
でも、今日は違った。
「さ、コーラル。扉を開けて」
「え?」
思わず聞き返してしまう。
自分であけることに何の抵抗もないけど、アトルがあけないのが珍しくて。
でも、そんなこといったってしょうがないので自分であける。
パパパンッ!!
「えっ?!」
突如聞こえた音に思わずびっくり。
「お誕生日おめでとう、コーラル!!」
ええ!?
そういえば今日って・・・
「君の誕生日だろう?コーラル」
アトルに言われてはっとする。
忘れてたよ、自分・・・
ここのところ研究だなんだかんだで忙しくて、誕生日のことなんかすっかり忘れていた・・・
研究室はパーティー会場になっていた。
「さっきの休憩はちょっとした時間稼ぎだよ。ここをセッティングしてもらうためのね」
中にはタイム、ルカ、スカイ、その他にも何人か・・・
「皆・・・」
「ささ、そんなところに突っ立ってないで早く入ってこいよ!!」
タイムが私を誘導する。
主役の席に。
「ありがとう!」
「どういたしましてっと!」
私が席についたところでタイムが言う。
「え〜これから『コーラルの誕生日を祝う会』を始めま〜す!!」
拍手。中にタイムに対して、ひっこめ〜という奴もいた(笑)
「っていっても、とくにプログラムとかないからな!とにかく楽しんでくれよ、コーラル!」
そんなこんなで始まった誕生会。
食事するだけなんだけど、すごく嬉しい。
途中で紙ふぶきとかも舞った。(タイムの風魔法の演出)

「コーラルさん。これを貴方に・・・」
「わあ、ルカありがとう!」
ルカがくれたのは色彩鮮やかな花束。
色のセンスが良くて・・・ルカらしい。
「花束はやっぱルカで正解だったな。」
「お前が選んだらどうなるかわかったもんじゃないからな」
「んだとぉ・・・?」
「確かに、タイムのセンスはいいとはいえないからね」
「アトルまで・・・二人揃って・・・」
「あぁぁ、やめてくださいよ、コーラルさんに迷惑ですよ。」
変わらない四人組の関係をみて思わず笑ってしまう。
集中教育の一週間の間に私と仲良くなった四人。
「っと俺からはこれ!」
「私からはこれだ。」
「タイムにスカイも?ありがとう〜!」
二人から包みを受け取ると次から次へとプレゼントを渡す人が。
ああ、本当にここにいてよかったなと思う瞬間。

一通りプレゼントを受け取って・・・肝心な彼からもらってないことに気づく。
そっちを見やれば。
「コーラル。」
もう目の前まで来ている・・・アトル。
「最後に・・・私からはこれだよ」
小さな包みだった。
「あけていいですか?」
「もちろん」
彼の承諾を得てそれをあけると・・・
「わぁ・・・」
「きれいだろう?」
「はいっ」
そこにあるのは指輪。
その指輪の真ん中にはまった石がきれいに輝いていた。
ああ、それで納得する点があった。
今日、宝石店でアトルが見せた安心した顔。
あれは、すでにこの指輪を買っていたからだろう・・・
私が別のを気に入ったって言ったら、彼、困ったんだろうな・・・
でも・・・この石は・・・何の石だろう。
「この石は何の石ですか?」
「当ててごらん」
「え?!」
そうは言われても、石に関する知識は薄いし・・・
「石に関する知識がなくても、わかると思うよ」
まじですか・・・
でも、なんだろう、本当に・・・
「ああ、そういうことですか」
ルカはわかったらしい。
「なるほどな・・・マスターもなかなかセンスがいい」
スカイも・・・
「え〜・・・わからない・・・」
「俺もわかんねぇ・・・」
タイムはわからないようだ。
「・・・鈍感」
「んだとぉ!!」
スカイの発言にタイム爆発。
しかし。
「ん、いや・・・待てよ・・・そうか、わかった!」
えええぇぇぇ!!
「知ったかぶりか?」
「ちげぇよ!本当にわかったんだよ!!」
どうしよぅ、わかってないの、私だけ!?
「灯台下暗しだ」
スカイが言う。灯台下暗し・・・?
「なかなかいいヒントだね、スカイ。」
・・・今の、ヒントなの、アトル・・・
そう言おうとして・・・記憶がさかのぼる。
ある会話が、頭に浮かぶ。
図書館で、初めてルカに会ったときの会話・・・

「ふふっ、やっぱり集中教育の生徒の名前は宝石なんですね。」
「え?コーラルって宝石なの?」
「ええ、とてもきれいな石ですよ。」

きれいな石・・・私の名前・・・

「コー・・・ラル・・・コーラル。」
私はその石の名前を口に出してみた。
「正解だよ、コーラル。その石は珊瑚・・・コーラルだよ。」
「ふふっ、言ったとおり、きれいな石でしょう?」
アトルの言葉にルカが続く。
「うん・・・すごくきれい・・・」
「気に入ってもらえたかな?」
「はいっ」
「そうか・・・では」
すっとアトルの手が伸び、私の手にあった指輪を手に取った。
「え・・・?」
「私に・・・直接はめさせてもらえないかな?お嬢さん」
「え・・・いいんですか?」
「もちろんだよ。」
「じゃあ、お願いします・・・」
わぁ・・・恥ずかしい・・・
「それじゃあ、左手を出して。」
・・・左手?
「もしかして・・・左手の薬指・・・?」
「その通りだよ、コーラル」
・・・胸が熱くなる。
こっちの世界でも、そういう風習は一緒なんだ・・・じゃなくって!!
「それってもしかして・・・」
「もちろん、そのもしかしてだよ・・・コーラル」
一旦、アトルは言葉を切る。
周りで熱々だ〜だの外でやれ〜だの声がする。
あつい。すごいあつい。
涙腺が緩む。
「いやかい・・・?」
私が涙ぐんだのをみて、アトルが聞いてきた。
「ちがっ・・・嬉しいんです」
「そうか・・・そういってもらえると・・・嬉しいよ。じゃあ・・・」
そういってまた言葉を切り。
「私と・・・いや俺と結婚してもらえませんか、○○」
「はい・・・もちろんです」
アトルによってコーラルの指輪が左手の薬指にはまる。
そして、そのまま、その指に口付けを落とされる・・・
パパパンっ!!
一体どこにまだクラッカーを隠し持っていたんだか・・・
再び激しい爆発音。
そしてタイムが発言。
「え〜ただいまより『コーラルの誕生日を祝う会』にプラスして『アトルとコーラルの結婚を祝う会』を開始したいと思います〜!!」
これにはアトルもびっくり。
「聞いてないが・・・?」
「予感していたから、最初からこっそり計画にプラスしておいた。」
マスターの質問に最近意思を持ったスカイ、軽く流す。
「よっしゃ、今日は祝いとおすぜ〜!!」
タイムの発言に、皆盛り上がってる。
置いてきぼりくらいかけた主役の私たちだが、
「やれやれ・・・それじゃあ、私たちも加わろうか。」
「はい・・・!」

かくして。
数日後、私たちは式を挙げることになる。

最高の一日をありがとう。
最高の誕生日をありがとう。
Happy Happy Birthday!!

〜Fin〜

おまけ
「コーラル(Coral)、珊瑚ですが・・・はアクアマリン(Aquamarine)、ブラッドストーン(Bloodstone)と並ぶ、3月の誕生石となっています。意味は長寿、幸福、聡明です。色は赤やピンク、白があるそうですね。有機質の宝石で、傷つきやすいそうですよ。この小説の著者・・・道行マリルの誕生日があるのが3月のため、また誕生日とコーラルをかけたかったため、3月の間にこのような小説を書いたようですね。以上、あとがきに変えまして、ルカでした!」


Written by Doukou-Maril
2004年3月29日



道行マリル様から頂きました、アトルとコーラルのその後です。
ダリルに残ったコーラルは、アトルと一緒に幸せになっているんだろうなぁと思いました(^-^)
道行マリルさんの作品は、スカイとタイムのやりとりが凄く面白いです(笑)
素敵なSS作品をありがとうございました。

2004年3月30日 : 中原 良