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「不変」 作 : 道行マリル 様 ※○○の部分には自分の名前を入れて読んで下さい。一箇所しか出ませんが(笑)※ 「・・・では今日の授業はここまで」 「ありがとうございました。」 その日の授業が終わり、あちらこちらで席を立つ音がする。 「う〜っ、終わった〜」 私は席を立ち、軽く体を伸ばす。 「ふふ、少しうとうとしてませんでした?」 そういって私に声をかけてきたのはルカだった。 「あ・・・ばれた?」 「ええ。今日見たいに暖かいとそうなっちゃいますよね。」 「あはは・・・」 苦笑する私。それをみて、ルカはくすくすと笑った。 「可愛かったですよ〜、うとうとしているコーラルさん。だから起こさなかったんですが」 「恥ずかしい・・・」 この人・・・ルカは・・・自分で言うのもなんだけど・・・私の彼氏。 一ヶ月ほど前に集中教育を受けるためにこの世界に来て、そして出会った。 とてもやさしくて、笑顔が素敵で。 だけど、心は・・・ 彼はハーフエルフなのだ。 その何が問題かといえば、昔人間とエルフの間にあったいざこざが原因でできたゆがみ。 そのせいでルカは人間とエルフの双方に歓迎されずに、避けられる。 だから、どちらかになりたいと思って・・・だけどどちらにもなれなくて。 それが彼を傷つけていて・・・ 集中教育最終日前日、ルカは私にこの都市に残ってほしいと言ってきた。 迷ったけど・・・私もルカと一緒にいたくて。 もっとルカのことを知りたくて。ルカの傷を癒したくて。 それで集中教育が終わった今でも、この都市に残り、学院で勉強する日々を送っている。 「それじゃあ、そろそろ帰りますか?」 「あ、ごめん!私、ちょっと先生に聞きたいところがあるんだ・・・」 さっきの授業でわからないところがあった。そのことを聞きたかったのだ。 「先帰っていいよ!」 「いえ、待ちますよ。」 「でも・・・暇じゃない?結構時間かかると思うよ。」 「そうですか?じゃあ・・・図書館で待ってます。終わったら来て下さい。」 「あ、うん、わかった!」 「それじゃあ、また後で・・・」 そういって去っていったルカを見送り、私は先生に質問しに行った。 この判断が間違いだと、この時私もルカも気づかなかった。 図書館に向かう途中で僕は違和感に気がつきました。 「・・・」 つけられている。 誰にかはわからないけど、とにかく誰かが僕の後をついて歩いている・・・ それも一人じゃない・・・複数に・・・ (念のために歩き回ってみましょうか・・・) 僕は図書館に行く道を外れて、あちこち歩き回りました。 「・・・」 やっぱり、誰かがついてきている・・・ (何なんでしょう・・・) 僕がハーフエルフだと知ると避ける人はいるけど・・・ついてくる人? だんだん嫌な予感がしてきました。 (・・・) 僕は校舎をでて、森の中へと入っていきました。 その後を数人の人がついてきました・・・ ぼくは足をある場所へと進めていきました。 (・・・人ならこれで巻けるけど・・・そうじゃないなら・・・) 森にある、ある結界の中へと入っていきました。 エルフが人から身を守るために作った結界。 その中に僕が入ると・・・ (・・・!) その人たちも入ってきました。 (・・・) ああ、だめだ。 逃げててもしかなたいですね。 僕は少し歩いたところで足を止め、振り返りました。 そこには三人のエルフ。 まさか振り返ると思っていなかったらしく、驚いている。 「僕に・・・なにか用ですか・・・?」 僕は先に口を開いた。 するとその三人のエルフのうちの一人が口を開いた。 「お前がルーカス=ケインズだな」 「・・・そうですが。」 そう答えて僕はピンとくるものがあった。 ああ、まずいことになってしまいそうだと。 この三人は・・・ 「貴方たちは・・・エルナにケーフェンに・・・アリオスでしたっけ・・・?」 「よく知ってるな。」 別のエルフが答える。こいつがケーフェンのはず・・・ 「・・・成績がいいと有名ですよ。」 本当はもっと別の所から入手した情報ですけど・・・ 〜数日前〜 「おや、その姿は・・・」 「あ、アトル!」 「アトルさん。こんにちは。」 中庭でコーラルさんと雑談をしていたとき、アトルが姿を現した。 「相変わらず、仲がよさそうだね。」 「そ・・・そんな・・・」 「そんな顔を赤くしなくていいんだよ、お嬢さん」 そういって軽く会話をした後、こっちをちらっとみました。 そして。 「コーラル。ちょっとルカと個人的な話がしたいんだ・・・少し席を外してもらえないかな?」 「え?構いませんよ。どのくらいかかりますか?」 「二、三分で終わると思うよ。」 「わかりました。」 そういってコーラルさんはその場を離れました。 僕も立ち上がり、アトルさんに話しかけました。 「あの・・・話って・・・」 「ああ・・・ちょっと気に留めておいて欲しいことがあってね・・・」 そういってアトルさんはまじめな顔をしました。 「エルナ、ケーフェン、アリオス・・・聞いたことあるかい?」 「え?えっと・・・成績が優秀なエルフと聞いたことありますが・・・」 「それ以外は?」 「それ以外?それ以外には特に・・・」 そうかと呟いて一旦アトルさんは口を閉じました。 しばしの沈黙のあと、僕が口を開こうとして・・・その前にアトルさんが口を開きました。 「ルカ。その三人には注意したほうがいい。」 「え?それってどういう意味ですか?」 「・・・世の中には視野の狭い者がいるものでね・・・彼らはその典型だ。彼らは他種族を嫌っている。人間のことは特に嫌悪しているようなのだよ。ハーフエルフのことだってよく思っているはずが無い・・・人間のこと以上にね・・・。おまけに彼らは頭がいいだけでなく、力もある。更に行動的で・・・言ってしまえば過激的なのだよ・・・。プラスして言うとルカ、君は優秀だ。君も優秀な生徒として、ある程度名が通っている・・・。成績優秀のハーフエルフ・・・彼らからすれば、最も嫌な存在になってしまっている可能性が高いのだよ・・・」 「・・・つまり自分は狙われていると・・・」 「・・・まだ100%そうだとはいえないけどね・・・」 また沈黙。それをまたアトルさんがやぶる。 「念のために3人の外見を教えておこう。その三人には・・・気をつけるんだよ?ルカ。」 「・・・はい」 〜現在に戻る〜 まさにアトルさんの言っていた通りになってしまった。 まだ数日前に言われたばかりだというのに・・・ 油断していた自分を呪ってしまうほどです。 最初に口を開いた・・・アリオスがまた口を開く。 「俺たち、やっぱ有名なんだなあ〜」 ケーフェンがあとをつなぐ。 「本当。で、ルーカス」 「・・・ルカでいいですよ」 「んじゃルカ。お前は、俺たちのこと・・・どれぐらい知っている?」 その目がさっきより鋭いものとなっている。 「・・・成績優秀だっていうことと・・・後・・・」 僕は一旦そこで言葉をきって。 「・・・ハーフエルフで優秀な僕を嫌っているんじゃないかなってこと・・・」 「わかってるじゃん」 アリオスが答える。 エルナはさっきから黙ってる。無口だと聞いていましたが。 アリオスが続ける。 「中途半端な存在のくせにして、目出しすぎじゃあないのか?」 「エルフの血を汚してるんだぜ、お前の存在は」 ケーフェンが後を続ける。 ・・・ああ・・・ これだから、最低だ・・・ 「いいじゃないですか。ほっといてください!」 「はんっ、ゆがんだ存在がよくいうぜ」 「・・・種族別魔法。」 突然、エルナが間に割って入りました。 「は?エルナ、なんかいったか?」 「種族別魔法。そいつがよく図書館で調べてることだ。」 「・・・!!」 なんで・・・ 「種族別魔法ってことは・・・お前まさか、エルフになろうと?」 「なろうとは思ってません!僕はあくまで・・・」 「そうだよなぁ、ハーフエルフだもんな。」 「なれなくても近づこうって魂胆か?はっ、無理だね。中途半端に変わりはないし、エルフの魔法は簡単じゃないからな!」 「だから必死で勉強してるんじゃないですか!」 胸が熱くなるのを感じる。抑えなきゃならないのに・・・ 「けっ無駄な苦労してるなぁ。」 「・・・コーラル」 またエルナが唐突に口を開いてきました。でも今度出てきた単語こそケーフェンとアリオスを混乱させてました。 もっとも、僕はあせりましたが。 「こっ、コーラルぅ?」 「珊瑚がどうかしたのか?」 ケーフェンとアリオスの答えにエルナが再び口を開きました。 「コーラル。そいつが付き合っている人間だ。」 「げぇ〜。エルフに近づきたいって言っておきながら、恋人は人間かよ・・・」 ケーフェンが悪態をつく。 なんでそうなるんですか。 「いよいよエルフの面汚しだな。」 ケーフェンの言葉にアリオスが同意する。 「本当だな。その人間の気も知れないがな。中途半端で歪んだハーフエルフと付き合うなんてな・・・とんでもないもの好きかキチガイかだな。」 「こいつの両親の気も知らないな。どうしてエルフと人間が付き合う気になったんだか・・・世も末だなぁ」 アリオスの言葉。とどめはエルナ。 「どっちも救いようのない存在というわけだ。」 もう・・・歯止めなんか効かない。 効くはずが無い。 僕の中で、センが音を立てて・・・切れた。 「・・・でください。」 「あ?」 「ふざけないでください!なんでそうなるんですか!なんでハーフエルフが中途半端で歪んでるんですか!確かにそういう歴史はありますよ。でも、どうしてそこまでいわれなきゃならないんですか!?どうしてハーフエルフは好きなことを勉強しちゃならないんですか!それに僕自身のことだけならまだしも・・・なんで関係ない両親やコーラルさんまでそんな扱いを受けなきゃならないんですか!僕の母はエルフで、父は人間で、生まれてきたのが僕で!そのことに何の問題があるんですか!?二人とも立派な方々です!お互いを愛し合い、僕を愛してくれました!生まれつきオッドアイを持ってしまった僕の心配をしてくれました!僕がここでこうやって勉強していられるのも彼らのおかげなんです!それに・・・コーラルさんはっ・・・本当はこの都市にいるのはただ単なる集中教育のたった一週間だけだったはずだったんです!それを、僕のわがままのために、残るといってくれたんです!彼女にも両親や友人が元の住んでいる場所にいるのに、僕を選んでくれたんです!たった一人の僕を!この覚悟が貴方たちにわかるんですか!?彼女の上も下もわからない場所で暮らすという決意・・・その決意すらもお前たちはけなすんですか!?彼女の心の広さを知りもしないくせに!すべてをうけとめようとしてくれる思い、その強さ!そして何より、何もかもを癒してくれる、嫌なことを忘れさせてくれる笑顔・・・その何もをしらないくせにどうしてそんなことが言えるんですか!?汚れているのは、歪んでいるのは、キチガイなのは・・・貴方たちのほうじゃないですか!!!」 感情に任せて言い切った台詞に後悔はありません。 でも、彼らを怒らせるには十分過ぎたようでした。 「生意気言いやがって」 「ちょっとぐらい痛めつけても平気だよな」 といって三人は口々に呪文を唱え始めました。 僕のわからない呪文を。 でも、なにもせずにはいられません。 むこうが魔法でくるなら、こちらも魔法で受け止めるのが一番だと思い、呪文を詠唱する。 手元の魔方陣から水があらわれ、それで彼らの魔法を受け止める。 「やるな!だが、いつまでもつかな!?」 ケーフェンが更に大きな魔法を放ってきたため、僕は更に大きな魔法で対応し。 一方アリオスも攻撃してきたため、そっちも防ぎ。 更に別の方向からエルナの攻撃もどうにか受け止めて。 その攻防が続き。 「・・・はぁっ・・・」 「どうした?もう終わりか?!」 さすがに3vs1は分が悪く、魔力がどんどん減っていってしまう。 ケーフェンとアリオスが同時に攻撃してきて。 「・・・っく」 なんとかそれを受け止めて・・・ふと周りを見まわしてみると。 エルナが・・・いない? 「・・・後ろだ」 「!!!」 後ろを向くとそこにはエルナが。 (間に合わないっ!!) とっさに受身の態勢をとるも、魔法が腕にあたり、 「・・・っっ!!」 激痛が腕に走った。 そのまま地面に倒れる。 「・・・くそっ」 魔力の消費で、力が入らない。 腕からは大量の出血が・・・ そして上からは三人の攻撃が・・・ 「終わりだぁ!!」 (終わりなのか・・・) 痛みを覚悟したその時。 ヒューーーーン・・・ 「な・・・」 アリオスが声を上げる。 ぼくも呆然としてしまいました。 僕の前には魔方陣が。それも結構な大きさの。 その魔方陣は三つの攻撃を受けとめようとしていたのです。 パリーーーン・・・ ガラスが砕けるような音。 その音と同時に現れた渦に3人の攻撃は飲み込まれて、消えていく。 「なんなんだ、いまのは・・・」 「水じゃねぇってことはルカじゃねぇな。今の魔法はそもそもなんだ?」 魔方陣に書かれたあの文字・・・どっかで見た覚えたが・・・ 「ルカっ!!!」 この声は・・・ 「コー・・・ラル・・・さん?」 見るとコーラルさんと後ろに・・・二人・・・? 「こいつがコーラル?」 「弱そうだな!」 といってアリオスが魔法を放つ。 「!やめっ・・・」 やめろといわれてやめるやつがいないのはお約束ではありますが・・・ その魔法はまっすぐコーラルさんの方に・・・ そのコーラルさんはというと、魔法の詠唱をして。そして。 ヒューーーン・・・ 魔方陣が現れました。 「あっあれは!」 ケーフェンの声。 その魔方陣に書かれた文字はさっきみた文字と一緒だったのだから・・・ パリーーーン・・・ 現れた渦に飲み込まれるケーフェンの魔法。 あれは・・・ 「時属性の・・・防御魔法・・・?」 僕が呟く。 「時属性なのかよ?!」 アリオスが嘆く。 なんていってるところに別の魔方陣が現れました。 あれは確か・・・ 次の瞬間、ボーーーン!!と言う爆発音とともに、衝撃波が3人を襲っていきました。 「わぁ!!」 3人は後ろに飛びのく。 「な・・・なんだ・・・?!」 ケーフェンがいう。 無理もないでしょうね。特殊な魔法ですからね。 あの魔法が使えるのは僕の知る限り、一人だけ。 次の瞬間、僕は抱きかかえられていた・・・コーラルさんに。 「ルカぁっ・・・!」 「コーラル・・・さん・・・」 そしてその後ろには。 「・・・どうやら、意識はあるようだね・・・」 そういって声をかけたのはアトルさん。 そしてスカイさんも一緒・・・ さっき衝撃波をはなったのは彼だろう。 「ルカ・・・腕・・・」 「あ、大丈夫ですよ、これぐらい・・・」 痛いに違いはなかったけれど、コーラルさんに心配をかけたくなくて。 「やれやれ・・・」 アトルさんはため息をつくと3人の方に向き直って。 「少しおいたが過ぎるじゃないのかい?」アトルさん。 「ぅるせぇ!!外野は黙ってろ!」アリオス。 「大体、何で人間がここに入れるんだよ!」ケーフェン。 「・・・私は・・・魔法人形だが・・・?」スカイさん。 「ふっ・・・私も人間ではないよ・・・亜種だ。」アトルさん。 「私・・・人間だけど・・・なんでここに入れるんだろう・・・」コーラルさん。 「・・・変な奴だな。」エルナ。 「前もここに入れたんだよね・・・なんでだろ・・・」コーラルさん。 「まあ、そんなこと、どうでもいいじゃないか。」 アトルさんがそういってしめました。 そしてアトルさんはスカイさんに小声で声をかけました。 「・・・時間を稼いでくれ。」 「・・・わかった」 スカイさんが了解すると、アトルさんは呪文の詠唱を始めました。 「っさせるかっ」 アリオスが魔法で攻撃を仕掛ける。が。 「・・・」 スカイさんの魔法によってはじかれました。 「っち・・・」 3人の魔力は僕との戦いによって結構消費されていました。 スカイさんには何の苦もない防御だったでしょう。 それから、少しの攻防が続き・・・ 「・・・」 スカイさんは主であるアトルさんの方をちらりと見ると、立ってる場所を、アトルさんの後ろ・・・僕たちの目の前まで下がりました。 「っは・・・もうお終いか!?」 ケーフェンが言うと。 「・・・終わるのは、お前たちのほうだ。」 とスカイさんは呟き、防御壁を作りました。 ・・・アトルさんの手元には・・・ 「・・・!?」 「・・・ア・・・アトル・・・」 僕もコーラルさんも驚いちゃいました・・・ かなりの大きさの魔方陣が、そこにあったから・・・ 「・・・伏せていろ」 スカイさんの声。 「う・・・うん!」 それを聞いたコーラルさんは僕に覆いかぶさるように伏せました。 「やべっ」 アトルさんをみた3人が急いで防御壁を張ったようでしたが・・・ 「無駄だ・・・ちょっとやそっとの防御壁でマスターの魔法は防げない」 「・・・っ!!」 次の瞬間・・・ ものすごく大きな何かが破裂する音がしました。 「・・・!!!」 声になってない叫びが聞こえてきました・・・ ちょっと哀れになりましたね・・・ こっちはというとスカイさんの防御壁とコーラルさんのおかげで、なんともありませんでした。 もっとも、すぐ横をすごい圧力が過ぎていきましたが・・・ やがて。 静かになりました・・・ 「・・・顔を上げていい。もう終わった。」 そのスカイさんの声にあわせて顔を上げると・・・ 3人が気絶してました。 目立った外傷はありませんでしたが・・・どんな魔法を受けたんでしょうか・・・ 「まったく・・・だから注意しろといったんだよ・・・」 アトルさんが僕にそういってきました。 「ごめんなさい・・・」 「まぁ、終わったことをあれこれいってもしかたないけどね・・・コーラルに感謝しなさい・・・」 「コーラルさん・・・」 顔を上げるとコーラルさんは・・・ 「・・・っ・・・ふぇ・・・」 「Σコっコーラルさん!?」 泣いていました・・・ 「・・・っ・・・ごめんね・・・ルカっ・・・」 「な・・・何で貴方が謝るんですか?!謝らなきゃいけないのは・・・僕なのに・・・」 心配をかけたのは僕のほうなのに・・・ 「・・・だってっ・・・ルカを一人にしなかったら・・・こんなことにはならなかったのにっ・・・私が、先に帰ってなんて言ったからっ・・・」 「違います!僕がいけないんです!僕が・・・警告されてたのに・・・油断したから・・・心配までかけてしまって・・・ごめんなさい・・・コーラルさん・・・」 「でもっ・・・ルカ、腕まで怪我してっ・・・」 「このぐらい、なんともありませんよ。」 「ちょっと見せてごらん・・・」 アトルさんが割って入り、僕の腕をとりました。そして、呪文を詠唱し・・・ 「傷が・・・癒えてく・・・」 「アトルさん・・・」 「どうかな?まだ痛むかな?」 「いえ・・・ありがとうございます・・・」 闇魔術の一つである治療により、僕の傷はふさがりました。 「コーラルさん・・・よくここがわかりましたね・・・どうやってここまで・・・」 「え?えっと・・・」 〜時間の巻き戻し〜 バタン!! 「アトルっ!スカイっ!」 突然研究室の扉を開けて飛び込んできた訪問者にアトルとスカイは驚いた。 私は結構焦っていたから、こんな形で入っちゃったんだけど・・・ 「おやおや・・・お嬢さん・・・どうかしたのかい?そんなに取り乱して・・・髪が乱れているよ。」 「え?本当?」 話が脱線しかける。それを。 「・・・珍しいな・・・ルカは一緒じゃないのか・・・」 スカイの鋭い一言が、私をはっとさせる。 「そうだよ、ルカだよ、ルカ!ルカがどこにもいないんだよ!!ねぇ、見なかった?」 「いや・・・見てないが・・・」 「私もさっき、野暮用で研究室の外に行ったが・・・見てないね。」 二人の答えに落胆。 「・・・どこいったんだろう・・・ルカ・・・」 「何があったんだい?最初から説明してごらん・・・」 「・・・今日最後の授業の後、私、先生に質問したいことがあって・・・ルカには先に帰ってもらおうと思ったんだけど・・・図書館で待ってるって言うから・・・」 「じゃあ、図書館にいるんじゃないのかい?」 「それが・・・図書館いったらどこにもいなくて、仕方無くフロントに聞いたら、来てすらいないって言われて・・・」 「来てすらいない?」 「はい・・・その後、あちこち探し回ったんです、彼が行きそうなところを・・・でも・・・どこにもいなくって・・・」 「自習室とか、草原とかもかい?」 「はい・・・それで、アトルに聞けば何か情報が得られるかもしれないと思って・・・」 沈黙。重い。 沈黙を破ったのはアトルさん。 「わかった。協力してあげよう。一人で探すより3人で探したほうが早いだろう。」 「本当?!」 「今の君をほっとくわけにはいかないよ・・・さ、行こう。」 「うんっ!」 かくして3人で移動を始める。 もう授業が終了しているため、校舎にいる生徒はまばらだ。 そのなかを歩いていくと、中庭に出た。 と、見覚えのある顔が。 「タイム!」 「あ?おお、コーラルにアトルにスカイ!どうしたんだ揃って。」 「そういう君こそ、どうしたんだい?こんな時間に」 「俺?・・・補習だよ・・・この間の試験で赤点とっちまったからなぁ。」 「・・・普段授業にでないからだ。」 「・・・悪かったな・・・」 スカイの突っ込みにアトルの顔に皺がよる。険悪な雰囲気になる・・・ 「ね、ねぇ、タイム。」 「ん?どうした、コーラル。・・・ルカは一緒じゃないのか?」 そんなに年がら年中一緒と思われているのか・・・じゃなくて。 「ルカ見なかった?」 「ルカ?ルカねえ・・・ああ、数分前に見たけど?」 「え!?どこで!?」 「え〜っと、俺がここでボーっとしてたら、怖い顔して森の中入ってたぜ?一人で。」 「森の中に?」 「ああ、その後、3人ほど後をついてった奴がいたな。あれ、多分エルフじゃねえかと思うんだけど・・・それ以来、まだ帰ってきてないみたいだぜ」 それを聞いてアトルが聞く。 「3人のエルフが後をついてったといったね・・・どんなエルフだったか覚えているかい?」 「え?え〜っと・・・そうだな・・・皆髪の色素が薄いんだけど・・・一人は緑っぽい髪に金目、背が低かったと思う。一人は蒼っぽい髪に、やっぱり金目、こいつはのっぽ。後一人は赤系の髪に青眼、スポーツやってますってかんじのがっちり系だったぜ。」 「エルナにケーフェンにアリオスかっ・・・」 「え?アトル、心当たりがあるの!?」 「ああ・・・コーラル、少し急いで探した方がよさそうだ・・・タイム!」 「あ?」 「暇なのだろう?探すの、手伝ってもらえないかな?」 「え〜・・・補習明け(?)なのに・・・」 「・・・タイム・・・」 「あ〜わかったわかった!女の子泣かせるわけにはいかないしな!よし、手伝ってやろう!ルカ、森のあっちの方に行ったぜ!」 「それじゃあ、あっちに行ってみようか・・・」 4人に増えた「ルカ探索隊」は森の中に入って行った。 「でもよぉ・・・この広い森から探し出すのって絶望的じゃないか?」 タイムが現実的なことを言う。 「・・・」 確かに・・・その通りだけど・・・ 私が落ち込むと・・・ ドーーーン!! 「っわぁ!あぶねえな!何するんだよ!!」 「・・・無神経なことを言うお前が悪い」 「だからって魔法球ぶつけてくるこたぁねえだろ!!」 「・・・よけたくせに」 「直撃したら死ぬじゃねえか!!!」 「やれやれ・・・元気だねえ・・・」 タイムとスカイにアトルが呟く。 「急いで探さないといけないというのに・・・焦ってしまっていい案が浮かばない・・・」 「あの・・・さっきのエルナとかケーなんとかとかって人たちがなんかあるんですか?」 「・・・この間君に席を外してもらったことがあっただろう?ルカと二人きりで話すために。そのときルカにいったんだよ・・・他種族を嫌うエルフが・・・ルカを狙っている可能性が高いということをね。それがエルナにケーフェンにアリオスだ。彼らは過激的だからね・・・ルカが危ない目にあっている可能性が高いのだよ。」 「・・・そんな・・・」 「・・・コーラル。こんな時こそ・・・君の出番だ。ルカが行きそうなところ・・・どこか思いつくかい?」 「え・・・そういわれても・・・」 そういわれても出てくる場所・・・森の中で・・・? どこだろどこだろぅぅぅ〜〜 私も焦っちゃっていい案が・・・ ・・・あ・・・もしかしたら・・・ いや・・・きっと・・・ 気がついたら走り出していた。 「コーラル!?」 アトルの声、そしてその後足跡。 後ろを振り返ったわけじゃないけど、アトルたち3人がついてきているのがわかる。 「・・・っ一体どうしたんだ!?」 タイムが声をかけてくる。でも私は答えず、振り返らず、ただ走り続けた。 あの日・・・初めての闇空の日・・・街に行こうと森の中に入った私は迷子になった。 そしてその時・・・であった場所が・・・ルカの色々な事を知ることをできた場所が・・・ ある場所に足を踏み入れた瞬間・・・周りの雰囲気が変わった。 景色が変わったわけじゃない。でも、何かが変わったのがわかった。 「・・・マスター」 「なんだい?スカイ」 「・・・タイムがいなくなった」 「・・・今はコーラルを追いかけたほうがいいだろう」 ああ。やっぱり来れたんだ。 あの日、ルカとであった・・・エルフが人間からのがれるために存在する結界の中に。 タイムがいなくなったのは、入れなかったからだ。 彼は、人間だから・・・ 私が人間なのに入れる理由はわからないけど。 さらに走ってくと・・・ 「!!!」 ルカが襲われてる・・・三人のエルフに。 ルカは自分で防御できなさそう・・・ (お願い・・・!!) 間に合って・・・!! 覚えたての防御魔法を唱えてみた。そして・・・ 〜現在に戻る〜 「・・・というわけで・・・タイムを放置したままだった〜〜〜!!」 「・・・今頃私たちを探してさまよっているのだろうな・・・」 「探しても見つからない場所を歩き回っているわけだね」 私のしめの台詞にスカイとアトルが続く。 「そろそろ戻ったほうがいいね・・・日が暮れる・・・ルカ、立てるかい?」 「え?あ・・・はい」 と立ち上がるが、なんか・・・ふらついてない? 「・・・っ」 「きゃっ」 ルカが倒れそうになるのを私が何とか支える。 「すっすいません、コーラルさんっ」 「ルカ・・・無理しないで。私が肩を貸してあげるからさ・・・」 「でも・・・」 「いいからっ」 彼の腕を自分の肩に持っていく。 「すいません・・・本当に・・・ありがとうございます・・・」 「気にしないで、ねっ」 「それじゃあ、いこうか。」 アトルが気絶している人のうち二人をもって言う。 残りの一人をスカイが持つ。 「ほっといてもいいのだけれど・・・」 「いいんですか・・・」 アトルの発言に思わず突っ込む私。 「・・・一応学院のほうに報告しないとね。」 「・・・良くて停学、最悪退学だろうな。」 スカイの台詞に、私は思ったことを声にだす。 「へ〜、この学院にも停学とか退学とかあるんだ。」 「もちろん。」 それにアトルが肯定する。 私たちは歩き出した。結界の出口の方へ。 しばらく歩くと、周りの雰囲気が変わる。 「どうやら結界の外に出たようだね」 「お〜ま〜え〜ら〜!!」 「あ・・・」 「タイ・・・ム・・・」 結界を出たところにいたのは、カンカン・・・で、くたくたのタイム。ある意味、ルカよりやつれてる。 「人に探すのを手伝わせておいて、勝手にいなくなって、見つかったと思ったらルカも一緒とはどういうことだ〜!俺は間違いなくお前らの後をついていったはずだったんだぞ〜!!それなのに急に消えちまうし、一生懸命探してもみつからねえし・・・!!!」 ・・・かなり怒ってる・・・ 「俺だって本気で心配したんだぞ〜〜〜!!ルカ!!!」 「あ・・・ごめ・・・」 「俺よりコーラルに謝れ!!男が付き合ってる女を泣かせるようなまねするんじゃねえぞ!!次やったら、コーラルもらうからな!!!」 「あ・・・それはちょっと・・・」 「じゃあ反省しろ!!!」 「あ、あの・・・タイム、私、そんなに気にしてないから・・・」 「コーラルがそういうならいいけど・・・」 だんだんタイムも落ち着いてきたようだ。 「ルカ・・・言い過ぎたな。わりぃ・・・心配だったし、置いてきぼりくらったしで感情的になりすぎてた・・・」 「いえ・・・あなたが言うことはもっともでしたよ・・・タイム」 「・・・どっかいくなら誰かに声かけてからにしろよ。皆、お前を心配するからさ」 「はい・・・ごめんなさい」 「っと・・・腕、すごいことになってるな」 「いえ・・・アトルさんに治してもらったので・・・大丈夫です。服が裂けて汚れてるだけですよ。」 「ならいいんだけど・・・」 服は魔法で直していないため、大惨事に見えなくもない状態になっていた。 「魔力もずいぶん消費してるみたいだしな・・・一人で立てないのか?」 「ちょっと・・・」 「そうか・・・」 そういって今度はアトルとスカイの方を向いた。 「で・・・そいつらがエリナにコーフェンにアリエスだって?」 「・・・一人もあってないよ・・・タイム」 「エルナにケーフェンにアリオスだよ。」 「・・・記憶力悪いな・・・」 「うるせぇ!!一回聞いただけで覚えられるか!!」 「私は一回聞いたときに覚えたが?」 「俺をお前と一緒にするな!!!」 「また喧嘩してるよ・・・」 思わずあきれ返ってしまう。 「まあ、喧嘩するほど仲がいいというからね、問題ないと思うよ、コーラル」 「・・・マスター」 「・・・アトル」 二人の矛先がアトルを向く。 「さあ、早く森を出よう。暗くなったら危ないからね」 「おい、待て!!」 タイムの声を無視して、アトルは歩いていく。 「じゃあ、いこうかルカ。」 「・・・」 「ルカ?」 「あっすいません、いきましょうか」 「・・・」 ルカ・・・黙り込んでたけど・・・大丈夫かな・・・ 森をでて帰り支度を整える。 「私たちはこれから学院のほうに報告しなきゃいけないから送れないけど・・・大丈夫だね?」 「俺がいるから平気だ!」 アトルの質問にタイムが答える。 「余計に心配だ」 「んだとぉ!?」 「タイム、抑えて抑えて・・・」 「あ、わりぃ、コーラル。」 「スカイもいちいちつっかかってはいけないよ・・・タイムは短気なんだから・・・」 「すまない・・・」 「ちょっとまて。俺は短気じゃねえよ」 (どこがだよ・・・) 全員、心の中で同じ発言をしたはず。 「では、コーラル、ルカ、タイム。気をつけて帰るのだよ。」 「・・・また明日。」 「ああ、じゃあな!」 「今日はありがとう!私に付き合ってくれて!」 「問題ないよ、コーラル。では・・・」 二人が学院に引き返していく。 「んじゃいくか!」 タイムが私に声をかけてくる。 「うん。」 といってまた隣のルカをみる。 またルカ、黙ったままだった・・・大丈夫かな・・・本当に・・・ なんか言われたんだろうな・・・きっと・・・ あの3人に・・・ 街につくころには日はほとんど沈んでいた。 「うっわ〜すっかり遅くなっちまったなぁ〜」 「本当だね〜」 「とんだ災難だったな」 「うん・・・」 あれから私とタイムは会話をしていたが、ルカは黙ったままだった。 「・・・っともうこんな場所か。」 街のある場所で立ち止まる。 私たちとタイムとはここでお別れだ。 私はルカのところに泊めてもらっているので最後まで一緒だけど、彼は彼の家があるのだから、途中までしか一緒ではないのだ。 「あ、ここでお別れかぁ」 「ああ。・・・ルカ」 タイムが突如、黙ったままのルカに声をかけた。 「え、あ、タイム。何ですか?」 「何ですかじゃねぇよ。何でさっきから黙ったままなんだ?」 「あの・・・その・・・」 「タイ・・・」 「あの3人組に何言われたか知らねぇ。知りたくもねぇ。けどよ。そんなに気にすることねえと思うぞ。俺はお前の事好きだしな。頭いいし、やさしいしな。お前が何者だなんてんなこと全然気にしてねえよ。それはアトルやスカイ、コーラルだって一緒だと思うしな。んなうじうじしてんなよ。いや、だからって急に俺みたいになられても困るけどな。ま、無理して何かを捻じ曲げようとする必要はねえよ。・・・じゃあな、そろそろかえらねえと、母親が心配するからよ!」 「あ、タイム・・・」 「ん?」 「ありがとう・・・」 「気にすんな!じゃあな!!」 そういって通りの向こうに消えていくタイム。 「バイバイ〜!!」 私も手を振る。 「じゃあ、行こうか!」 「はい」 また二人で歩いていく。 「・・・コーラルさん」 ルカが突如口を開く。 「ん?何、ルカ」 「やっぱり僕は・・・どちらにもなれないんですね。」 「え・・・」 「中途半端な存在はどんなにがんばっても変われないんですね・・・今日、つくづく思いました・・・エルフ魔法を今日見て、思いました。彼らが詠唱している言葉がまったくわからない・・・そんな僕が彼らに近づけるはずがないんですよね。大体、エルフに近づきたいって言っておきながら・・・人間の中にいる・・・それそのものが間違っているのかもしれない。人間の力を借りようとしているのが間違っているいるかもしれない・・・でも僕は人間のそばにいたいんです。貴方も含め、いろんな人と・・・それが・・・間違いだって・・・言うんです・・・僕は・・・!?」 気づいたら、私は自分の唇で彼の唇をふさいでいた。 そう・・・キスしていた・・・街のど真ん中で。 でも、そんなこと、今は気にならない。 私は唇を離すと、驚いている彼に対し、言葉を放った。 「・・・タイムも言ってたけどさ、そんなの気にする必要ないよ!その考え方が間違ってるんだよ!付き合いに種別なんて関係ないじゃん。だってエルフと人間って和解したんでしょ?古い考えを引きずってる人たちのことを鵜呑みにする必要ないよ。それに・・・」 「・・・それに?」 「変わらなくたっていいじゃない・・・」 「・・・え?」 「わかってる!ルカはエルフに近づきたいんだって!だけど、中途半端だってののしられて、だからって無理やり道を変える必要はないよ!今のままの、ルカのままで、最高を目指せばいいじゃない。ハーフエルフがどちらにもなれないなら・・・どちらにもならなくていいから・・・今のままでいいから・・・変わらなくていいから!変わることによってルカがなくなってしまうんだったら、むしろ変わらないでよ!タイムだって言ってたじゃない、無理やり捻じ曲げる必要はないって。ルカは今のままで、十分だよ。やさしくって、それでいて強い、ルカのままで十分だよ。変わってほしくないよ・・・はなれてほしくないよ!!」 「コーラルさん・・・」 「今のままでいてよ・・・」 「そう・・・ですね。僕は・・・考えすぎていたのかも知れませんね。」 「ルカ・・・」 「すいません、また心配かけて」 「ううん。」 「コーラルさん・・・僕は、これからも種族別魔法の勉強を続けます。エルフに近づきたいという思いはまだありますからね。でも・・・何があっても、僕は僕のまま・・・今の関係を保っていきます。それが一番だと思いますから・・・僕も貴方と・・・別れたくありませんからね・・・それに気づかせてくれて・・・ありがとう、コーラルさん。」 「ルカ・・・」 「愛してます・・・○○・・・」 そういって今度は彼からの口付け。 何があっても変わらないで。 時がたっても変わらずにいて。 僕も貴方も。 この思いも不変であっていて。 〜Fin〜 Written by Doukou-Maril 2004年3月29日 |
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道行マリル様から頂きました、ルカとコーラルのその後です。 ダリルに残ったコーラル。道行さんのオリジナルキャラを交えて学院でのお話。 ルカとコーラルは勿論ながら、全ての登場キャラが格好良かったです(^-^) 素敵なSS作品をありがとうございました。 2004年4月2日 : 中原 良 |